DiaMATとは

(日本糖尿病学会 ホームページより引用)日本糖尿病学会 DiaMAT

これまでの災害時の糖尿病患者に対する支援活動

2011年の東日本大震災の際に、東北地方太平洋沖地震対策本部の設置やインスリン等の医療物資の供給支援、インスリン相談電話の設置が行われました。さらに災害時の糖尿病医療に関する学術調査研究事業が立ち上げられ、その成果として「糖尿病医療者のための災害時糖尿病診療マニュアル」が2014年3月に刊行され、「糖尿病医療支援チーム(DiaMAT:Diabetes Medical Assistance Team)」の必要性が提唱されました。


DiaMATの構築

2016年の熊本地震時には、東日本大震災の経験をふまえ、日本糖尿病学会と日本糖尿病協会が連携し熊本・九州地震対策本部が設置されました。熊本大学病院 糖尿病・代謝・内分泌内科では熊本県糖尿病対策推進会議との連携のもと熊本糖尿病支援チーム(K-DAT:Kumamoto Diabetes Assistance Team)を設置し、専門医やCDEJ、CDELなどの医療スタッフからなる支援チームによる被災地訪問などの支援が行われました。

これらの経験をもとに東北地方、九州地方を中心に「災害時の糖尿病患者支援活動ワーキンググループ」が糖尿病学会内に立ち上げられました。そのなかで、DiaMAT設立にむけた日本糖尿病学会、日本糖尿病協会を中心とした組織の構築や自治体との連携、教育訓練・平時の備え・災害時の医療チームの派遣や直接的支援を柱とする支援活動内容に関する提言がなされています。


DiaMATの活動内容

日本糖尿病学会、日本糖尿病協会、ならびに日本糖尿病療養指導士認定機構が協力し、さらに地域の糖尿病療養指導士(CDEL)にも参加いただきDiaMATの組織を構築することが提案されています。

各支部毎に支部組織を構築し、さらに支部の各県毎に県の組織を構成します。支部の責任者は日本糖尿病学会の支部長が、副責任者は日本糖尿病協会の支部理事が務め、さらに各県の糖尿病学会からの県代表(糖尿病対策推進会議の県代表)と日本糖尿病協会の県支部長が中心となり、各県の医師会や行政と連携をとりながら、専門医、連携医、CDEJ、CDELをメンバーとしてチームを形成し活動にあたることを想定しています。


 

<教育訓練>

日本糖尿病学会の年次学術集会や糖尿病学の進歩、地方会、あるいは日本糖尿病協会の年次学術集会などの際に、災害医療に関する講演会や講習会の開催を推進しています。また、日本糖尿病学会や日本糖尿病協会が編集する出版物にもDiaMATについて掲載されることが予定されています。このようにDiaMATを構成するメンバーとなる対象者に対して災害医療に関する知識習得のための講演会や講習会を開催することに加え、これらの教育を受けた医療スタッフが、市民への啓発活動や、平時からの行政や関係組織との連携構築を行うことが必要とされます。

 <平時の備え>

発災時に特に影響を受けやすい1型糖尿病患者およびインスリン依存状態にある患者を把握し、患者間や患者と医療者のネットワーク、電子カルテ情報を活用した医療機関間の情報ネットワークなどを構築することが重要です。また、行政との連携も含めて、災害時のみでなく平時より訓練を行うなどの活動も行っていく必要があります。日本糖尿病協会では医療者及び患者向けの災害時に役立つ資材を作成し、随時ホームページ上に掲載しています。

 <災害時の医療チームの派遣や直接的支援>

日本糖尿病学会や日本糖尿病協会の本部ならびに支部が連携し、災害の規模や場所に応じた支援体制を迅速に決定し、実際にDiaMATを派遣する体制の確立を目指しています。

災害発生直後の超急性期にはインスリンの供給やインスリンや内服薬に関するアドバイスや低血糖・高血糖に対する治療が求められると予想されます。また、超急性期には患者自身の対応が強く求められるため、日頃から患者に災害時における対応策を教育しておくことが重要です。
亜急性期から慢性期にかけては、被災者への直接的支援による合併症への対応や合併症進展予防に加えて、適切な治療継続や定期受診の指導も行う必要があります。

このように被災した糖尿病患者への支援は、急性期以降慢性期に至るまで長期間必要となります。各フェーズで必要な支援の内容が異なるため、ニーズにあった支援を提供することが重要です。


発災時の支援体制