熊本県糖尿病協会会長挨拶


熊本県糖尿病協会
会長 岩本 信行
 
熊本県糖尿病協会ホームページの開設を機にご挨拶を申し上げます。
このホームページは、協会の活動を県民の皆様、会員の皆様方に知っていただく手段として、これまで待ち望んでいたものが具体的な形となったものです。今後、本ホームページが当協会の広報窓口となり皆様方の協会へのご理解とご支援につながりますことを期待しています。
 
さて、糖尿病の患者数は、予備軍も含めると年々増加傾向にあり、人口の2割を超えたとも言われています。特に、初期の段階ではほとんど自覚症状が無く、病状が進行して初めて気づく人も多いと聞きます。悪化すれば、失明などの合併症への引き金になるとともに、患者自身の生活制限、医療経済への大きな負担も生じます。
 
これらの現状を踏まえ、いかに糖尿病予備軍の段階で進行を止めるか、発症後の生活様式の在り方はどうあるべきか、また、健常時に注意すべきこと等について協会が自治体、関係団体等と連携しながら未病と患者の負担軽減を図る活動を展開していかなければならないと考えています。
 
そのため、県協会では年間を通じ活動を展開しています。特に、2018年度は「肥後っ子スマイルサマーキャンプ」に力を注ぎました。50回目の節目とあって、8月4日から3泊4日の日程で美里町の「元気の森かじか」にて、1型糖尿病の小中高生を中心に家族、医療関係者など総勢250人の参加を得て、自己管理に必要な知識・技術を身につけ、一緒に頑張る仲間づくりを目的にキャンプ生活の中でのイベントを通じ楽しく学びました。
 
また、10月には秋晴れの中、熊本県農業公園に150人の参加者を得て、20回目のウォークラリー大会を開催しました。更に、「全国糖尿病週間」のある11月には、鶴屋百貨店で血糖値測定や栄養指導、同日、「熊本市民会館」では、歴史を知るDV上映と座談会など、延べ850人以上のご参加を得て実施しました。
 
関連行事として、県内各地の医療機関において、地域性に応じた検診や講演会を実施し1,600人余の人達に対して予防啓発活動を実施しました。
 
11月4日の「世界糖尿病デー」に際しては、参加者200人が統一のブルゾンを着用し、横断幕を広げ、辛島公園から上通りまでパレードを成し啓発に努めました。
 
この一連の活動の中で、歴史を学ぶ機会をいただきました。1973年(昭和48年)6月、NHKテレビ番組『ニュース特集』での「隠れた難病~小児糖尿病~」の記録映像です。当時、小児糖尿病は難病とされインスリンを打つにも医師の指導が必要で保険の適用も無く、家族は大変な苦労を強いられたそうです。その窮状を熊本の5人の代表が上京し、テレビに向かい、また同会場に居た厚生省政務次官に対し切々と訴えた結果、現在の保険適用や自己注射などが出来るようになったということです。
 
熊本は、現在の治療体制の基礎を作り上げた糖尿病医療改革の発祥の地ともいえるわけです。医療関係者だけでも医師、看護師、管理栄養士、理学療養士、薬剤師、臨床検査技師の先生方、そして関連する企業や学生ボランティアの皆様の実働に加え、熊本県・市、医師会、関係団体と協力報道機関のご支援により、現在、県下48の分会において独自の活動を行っています。
 
私は、2018年度の総会にて会長に推挙され、重責に身を置く決意を致しました。当協会の目的は、病気と闘う患者と家族の皆様への支援に加え、糖尿病に関する知識の普及啓発による県民の皆様の健康増進に寄与することだと考えています。
 
当協会がこれまで積み上げてきた活動と歴史を、医療関係者の皆様方のご指導と関係機関・団体のご支援とご協力により、継承発展させていきたいと考えています。
これまで当協会の活動に関わって頂きました全ての皆様には、引き続きご支援・ご協力をいただきますようお願い申し上げ結びと致します。
 
2019年3月